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貸金業法案のポイント掲載日:2006/11/20の公明新聞より
多重債務防止へ規制強化/貸金業法案のポイント
「グレーゾーン金利」の廃止や、過剰貸し付け防止策、貸金業界の適正化策などを盛り込んだ貸金業規制法などの改正案(貸金業法案)の国会審議が始まった。多重債務問題解決に向けた第一歩となる、同法案のポイントをまとめた。
『グレーゾーン金利を廃止/出資法引き下げ、「みなし弁済」廃止』
『利息制限法以上は全て違法に』
「グレーゾーン金利」は、利息制限法での上限金利(元本10万円未満20%、10万〜100万円未満18%、100万円以上は15%)と、出資法で定められた刑事罰の対象になる上限金利29・2%の間の金利帯で、民法上の支払い義務はないものの、貸し付けた業者に刑事罰はない。また、貸金業規制法にある「みなし弁済」の規定により、借り手が任意で支払うならばこの金利帯も有効とされてきた。
11月1日、金融庁が公表した資料(2005年3月末現在)によると、消費者向けの無担保貸付の残高は約17兆円。その約9割強(約15兆5800億円)を占める大手98社(総貸付残高500億円以上)の貸し付け内容を見ると、大半がグレーゾーンの上限ぎりぎりの高金利で貸し付けられていることが分かる【消費者金融の金利参照】。こうした高金利が230万人といわれる多重債務者を生む温床となってきた。
今回の改正では、出資法の上限金利を利息制限法の上限と同じ20%に引き下げる(元本100万円未満は行政処分で対応)。また、貸金業規制法の「みなし弁済」規定を削除する。これによって、利息制限法の上限を超える貸し付けはすべて違法になる。
また、今改正では金利の考え方についても明確化し、借り手が保証業者に支払う保証料や、契約時の手数料なども金利に含んで規制の対象とする。
『過剰貸し付け防止へ総量規制/返済能力の確認を義務付け』
『年収の3分の1超を禁止』
多重債務を生む最大の要因の一つが、返済能力を無視した過剰な貸し付け。現行の貸金業規制法には、返済能力を超えた貸し付けを禁止する条項はあるものの、具体的な基準はない。また、総借入残高を確認できる信用情報機関も業態別に分かれ、そのうち最大であり、消費者金融大手が加入する全国信用情報センター連合会でも、加入業者は全体の2割に満たない。
金融庁によると、消費者金融から5件以上借り入れている多重債務者は約230万人。その平均借入残高は230万円にのぼる。消費者金融利用者約1400万人のうち、実に6人に1人が多重債務に陥っていることになる。過剰貸し付けが横行していると判断せざるを得ない実態だ。
このため、今回の改正では、総理大臣が指定する信用情報機関を創設し、すべての貸金業者に加入を義務付け、借入情報の提供・確認ができるようにする。この信用情報機関は、現在ある業態別の3機関の機能を統一、統合することが想定されている。
その上で、1社50万円超の貸し付け、または他社も含めた貸し付け残高が100万円を超える場合は、借り手の年収を源泉徴収票や給与明細などで調査することが求められる。また、その調査の結果、借入残高が年収の3分の1を超える貸し付けを禁止する。こうした総量規制は初めて導入される。
『貸金業界の適正化/監督・罰則を大幅に強化』
『機動的な行政処分可能に』
貸金業界の適正化も広範に行われる。これまで任意団体だった貸金業協会を認可法人とし、実質的に全業者を加盟させる。
金融庁の監督・指導が行き渡るように徹底、広告や貸し付けなどについて、自主規制ルールの制定を求め、それを金融庁が認可する。
同時に、これまでは登録取り消しや業務停止しか行政処分の選択肢がなかったのに加え、新たに業務改善命令、さらに役員の解任命令を可能にして、監督官庁がより機動的な対処ができるようにする。
このように今改正は、特に悪質なものだけ規制する体制から、統制のとれた業界に変えることを意図しており、法律の名称も「貸金業規制法」から「貸金業法」と変える。
業者の参入についても条件を厳しくする。要件のうち純資産をこれまでの個人300万円、法人500万円から、共に5000万円まで引き上げる。
また、貸金業取扱主任者について資格試験を導入、合格者を営業所ごとに配置することを義務付ける。
また、業者の行為規制も強化。借り手の自殺によって保険金が支払われる保険契約や、従来の夜間に加え日中の執拗な取り立ての禁止、貸し付け時に返済すべき元利合わせた総額を示した文書交付の義務付けなどが含まれている。
一方、不法行為への罰則も格段に厳しくなる。超高金利(109・5%超)での貸し付けやヤミ金(無登録営業)に対する懲役刑が、これまでの最高5年から10年に、また罰金も1000万円から3000万円に引き上げ、併せて科すことも可能にする。なお、法人に対する罰金の最高額は1億円となる。
『約3年内に完全実施』
『罰則引き上げを先行/多重債務者対策本部を設置』
多重債務の防止には、借り手の借入総額の把握が欠かせない。そのために創設する信用情報機関の設置には、システムの開発や統合する機関との調整に一定の時間が必要なことから、今改正の完全実施は、約3年内を目途としている。各改正項目のうち、罰則の引き上げは法律公布から1カ月後、新たな貸金業協会設立、取り立て規制の強化、業務改善命令の導入などは公布から1年以内――と、まずは罰則強化などを先行する。
なお、改正法の施行に伴い、債権を他の業者に譲渡するケースが増えるのに対応して金融庁は、廃業時に残っている債権の状況や譲渡先を届け出るよう義務付ける方針を7日、発表した。来年3月から施行される。これと合わせ、債権回収に伴う苦情やヤミ金融の情報について、都道府県知事や警察との連携を深める。
一方、ヤミ金対策強化や多重債務者救済、緊急小口資金需要への対応などについて、内閣府内に「多重債務者対策本部」(仮称)を設置、金融庁をはじめ警察、厚労省など関係省庁が施策を検討・実施していく。

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